産業医は医師と何が違う?仕事内容・資格・役割をわかりやすく解説

公開日:2025/10/08
医師と何が違う

産業医とは、事業場における健康管理を専門的に行う医師のことです。実際には、病院での勤務と兼任しているケースがほとんどですが、産業医としての活動は、医療機関での活動とは異なる点があります。そこで本記事では、産業医と一般の医師との違いや産業医の仕事内容・資格・役割についてくわしく解説していきます。

産業医と一般的な医師の違い

企業で働く従業員の健康を守るうえで欠かせない存在が産業医です。しかし、病院で診療を行う一般的な医師と何が違うのか、イメージがわかない方も多いのではないでしょうか。ここでは、産業医と一般的な医師との違いを3つの視点で解説します。

対象者

一般の医師は、病気やけがを抱える患者を対象に診療や治療を行います。一方で産業医は、特定の企業や事業場で働く従業員全体を対象としています。

産業医が診るのは「患者」ではなく「従業員」であり、その健康状態を把握して、働きやすい職場づくりに貢献する点が大きな違いです。

医療行為の可否

産業医は医師資格をもっていても、産業医としての活動中に診療や投薬といった医療行為を行うことはできません。あくまでも助言・指導にとどまり、必要な場合には医療機関への受診をすすめます。

一方、医師は診療をはじめ、治療や処方箋の作成などの医療行為を行います。この医療行為の可否が、産業医と医師の明確な違いです。

求められる立場

一般的な医師は、患者側に立ち医療行為を行います。しかし、産業医は、経営者と従業員双方の立場を理解し、中立的なポジションで助言する役割が求められます。企業の利益だけでなく従業員の安全や健康を重視する姿勢が必要であり、法律で定められた職務を遂行すると同時に、働く人の信頼を得る存在でなければなりません。

産業医の仕事内容

産業医と一般的な医師は、対象者や医療行為の可否、求められる立場に大きな違いがあります。ここでは、具体的な産業医の仕事内容について紹介していきます。

職場巡視

産業医は毎月1回以上、職場を巡視し、作業環境や従業員の働き方を確認します。職場環境や業務内容を正しく把握し、社員の就業上の配慮や就業判定などの診断を行います。

健康診断

従業員に対して定期的な健康診断を実施し、その結果を踏まえて指導やフォローを行います。診断結果が悪化している従業員には、生活改善や勤務の調整などを提案するのも産業医の重要な役割です。

面接指導

長時間労働者やストレスチェックで高ストレスと判定された従業員に対し、産業医が面談を行います。過労やメンタル不調を未然に防ぐための助言を行い、必要に応じて休職や配置転換を提案します。

衛生委員会

従業員数50名以上の事業場では、衛生委員会の設置が義務付けられています。産業医は、衛生委員会に出席し、健康管理や職場環境改善に関する意見を述べます。経営陣や労働者代表と共に安全衛生体制を強化していく重要な場です。

健康教育

生活習慣病予防、禁煙指導、メンタルヘルス教育など、従業員に向けて健康教育を実施します。一般的には衛生講話と呼ばれています。健康意識を高め、セルフケアの促進につなげることも産業医の大切な役割です。

産業医になるための資格・要件

産業医として従事するためには「労働安全衛生規則」で定められている要件を満たす必要があります。ここでは、産業医になるための資格や要件について、解説します。

医師資格

産業医は医師免許をもつ人のみが従事できる仕事です。一般医師と同じく国家試験に合格し、医師として登録されている必要があります。

所定の研修または要件

産業医になる方法は3種類ありますが、そのなかでも一般的なのは医師会の産業医研修を受けて資格を得るルートです。これは、医師会などが開催する基礎研修を受講し、50単位以上取得するという方法です。1時間の研修で1単位取得できます。

2つ目は、産業医科大学の講座を受ける方法です。集中講座は卒業生以外も受講でき、6日間ほどで必要な単位を取得可能です。ただし、開催期間は限られており、受講生は抽選で選ばれます。すべての希望者が受講できるわけではないため、注意しましょう。

3つ目は、労働衛生コンサルタント試験の合格です。労働衛生コンサルタントとは、事業場の衛生状況について診断・指導を行い、その向上を目的とした業務を行う国家資格保持者のことです。労働衛生コンサルタントには「保健衛生」と「労働衛生工学」の2つの区分がありますが、産業医は保健衛生区分での合格が求められます。

更新と資格維持

認定産業医の資格は5年ごとの更新制であり、定期的に研修を受講し単位を取得しなければなりません。これは、常に最新の知識を学び、従業員の健康を守るためのスキルを維持するためです。

認定証取得後は、5年間で生涯研修20単位以上の修得が必要です。更新の際には、所属の都道府県医師会に必要書類を提出します。更新しない場合には産業医としての資格が失われるため、忘れずに更新する必要があります。

産業医が果たす役割

産業医が担う役割は、大きく分けて従業員の健康管理、職場環境・組織への関与、健康に関する教育や相談の3つです。それぞれくわしく解説します。

従業員の健康管理

産業医のもっとも重要な役割は、従業員一人ひとりの健康を守ることです。定期健康診断やストレスチェックの実施とその結果にもとづく措置、さらには長時間労働者や高ストレス者への面接指導などを通じて、病気の早期発見や重症化の防止を図ります。

産業医は治療を行う立場ではなく、予防や管理に重点を置いているため、従業員が安心して働き続けられる体制を整えることが求められます。必要に応じて勤務の調整や医療機関の受診を勧めるなど、健康と労働の両立を支援する点が大きな特徴です。

職場環境・組織への関与

産業医は個人の健康だけでなく、職場環境全体に目を向けて改善をうながす役割も担っています。月に一度の職場巡視を通じて、作業姿勢や業務負荷などを確認し、必要な改善策を経営層へ提案します。

大規模な事業場では限られた対応時間内ですべての職場巡視を行うのが難しいケースもあります。その場合には、日程を分けて巡視する、重点的にチェックする項目を選定しておくなどの工夫が求められます。

また、衛生委員会に出席し、労働者代表や人事担当者と意見交換を行うことで、組織的な安全衛生体制を強化します。健康診断の有所見率やその傾向、感染症対策などのテーマで短時間の研修を行うケースもあります。

こうした活動により、従業員が心身ともに健やかに働ける環境を作り上げることができます。

健康に関する教育や相談

産業医は従業員に対する健康教育や相談対応も行います。生活習慣病の予防、禁煙指導、メンタルヘルス研修などを実施することで、従業員自身の健康意識を高め、セルフケアを促進します。

また、相談窓口としての役割も果たしています。従業員が気軽に健康や働き方について相談できる体制を整えることも産業医の職務に含まれます。たとえば、従業員からは職場の人間関係についての悩みや受診の目安、人事担当や管理職からは社員同士のトラブル相談など、幅広い内容の相談を受け付けます。

このように教育や相談を通じて、従業員のモチベーション向上や組織全体の活性化につながる点も、産業医の大きな貢献といえます。

まとめ

産業医は、一般の医師と異なり、労働者の健康管理を担う専門医師です。医師免許に加えて、所定の研修や要件を満たす必要があり、5年ごとに資格の更新が求められます。仕事内容は、健康診断や職場巡視、衛生教育など、多岐にわたります。また、法令順守や健康経営、早期発見体制の構築といった視点から、企業経営においても非常に重要な存在です。常時、50名以上の労働者を使用する事業場では、1名以上の産業医を選任する必要があるため、自社のニーズに合わせて最適な産業医を選定しましょう。本記事が参考になれば幸いです。

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